血糖値が高い状態が続く病気は「糖尿病」で、糖尿病の予防・改善には食事が大切です。
なかでも血糖値の上昇にかかわる栄養素はご存知ですか?それは「糖質」です。
食事でとった「糖質」が体内でエネルギーに変わる流れを知ることは、なぜ高血糖になるのか・糖尿病とはどのようか病気か・食事ポイントの基本がわかるために1番はじめに知っておきたい基礎知識だと思ったのでお伝えします。
糖質とは
炭水化物は、ごはん・パン・麺類・いも類に多く含まれます。
炭水化物は
体内で消化されてエネルギー源になる「糖質」と
消化されない「食物繊維」に分類されます。
「糖質」「食物繊維」ともに血糖値対策に重要な栄養素になるのですが、
今回は血糖値の上昇にかかわる「糖質」に注目して、
「高血糖」とはどのような状態なのかを説明します。
「ブドウ糖(血糖)」がキーワードですので着目してください。
糖質の働き
「糖質」はごはん・パン・麺類・いも類のほか、
果物・砂糖などさまざまな食物に含まれます。
私たちが体を動かす、体温を保つ、心臓を動かすなど生命を維持する活動をするには「エネルギー」が必要です。
「糖質」はおもに「エネルギー」の源になる大切な栄養素です。
「糖質」が「エネルギー」になるまでの道のり
食事で食べた「糖質」は、胃や小腸で消化・吸収され、
「ブドウ糖」に変わります。
[イメージ:糖質はブドウ糖に変身したよ]
「ブドウ糖」は血液を通ります。
「ブドウ糖」の一方は、脳や筋肉に運ばれて、
脳や筋肉が活動するときの「エネルギー」になります。
もう一方は、肝臓に運ばれて、
蓄えられます(これらは必要に応じてエネルギーになります)。
[イメージ:ブドウ糖は血液内を歩いて各組織にいったよ。そこでエネルギーとして利用されたり、蓄えられたよ]
・糖質を過剰にとると
「ブドウ糖」が多くなると、エネルギーとして利用しきれない・蓄える量も限界を超えてしまうという事態になります。余ってしまった「ブドウ糖」はどうなるか?というと、脂肪組織に運ばれて体脂肪になります。これが糖質を食べ過ぎると太る理由です。
・糖質が不足すると
「ブドウ糖」が不足すると、エネルギー不足になり、だるい・つかれやすいといった疲労感がでます。また、からだは、体たんぱく質や体脂肪を分解してエネルギーを得ようとするために筋肉の減少や血中にケトン体が増加するケトン血症をまねきます。
「ブドウ糖」が「エネルギー」になるために必要な物質
「ブドウ糖」は、体のエネルギー源になる「糖質」が変身したもので、血液を通って脳や筋肉・肝臓に運ばれて、エネルギーとして利用されたり・蓄えられるのでしたね。
実は、
「ブドウ糖」が筋肉や肝臓に運ばれるためには必要なものがあります。
それは「インスリン」というホルモンです。
「インスリン」はすい臓という臓器でつくられて、必要に応じて分泌されます。
「インスリン」のおかげで、血液中の「ブドウ糖」は筋肉や肝臓に送らて、エネルギーとして利用できる状態になるのです。
「インスリン」は、血液中の「ブドウ糖」を各組織に取り込ませて、
血糖値を下げてくれます。
「インスリン」が作用しないと、
血液中の「ブドウ糖」はいく場所がなくなり、
血液中の「ブドウ糖」の濃度が高くなる「血糖値」が高い(高血糖)の状態が続きます。
「血糖値」とは、血液中に含まれる「ブドウ糖(血糖)」の濃度を表す数値です。
糖尿病とは
糖尿病は、「インスリン」の作用が不足するために
高血糖の状態が続く病気です。
食事でとった「糖質」は体内で「ブドウ糖」に変身して、すい臓からださせる「インスリン」のおかげで、エネルギーとしてつかわれるのでしたね。
糖尿病になると、
(インスリンの作用不足で)
食事でとった「ブドウ糖」をうまく「エネルギー」にすることができません。
そうなると血液中に「ブドウ糖」が多くなり(血糖値が高くなり)ます。
インスリンの働きが悪いのに「ブドウ糖」がどんどん増えると、
すい臓はがんばってインスリンをだそうとします。
この状態が続くと、
すい臓は疲れていき、
やがてインスリンをつくれなくなってしまいます。
このように糖尿病は進行していきます。
糖尿病は「ブドウ糖」を「エネルギー」としてうまく利用できない病気です。そのことから自覚症状として以下の3つがでます。早期発見・早期治療が大切です。
・「だるい・疲れやすい」
「ブドウ糖」をエネルギーとして利用できないと、休んでも疲れがとれない、常に全身がだるいという状態になります。
・「食べても痩せる」
食べ物でとった「ブドウ糖」をうまくエネルギーに変えることができないと、からだは、足りないエネルギーを補おうと、からだについている脂肪や筋肉を分解します。たくさん食べているのに体重が減るというのはそのためです。
・「のどが渇く」
血液中にたまった「ブドウ糖」を尿とともにからだの外ににだそうとして、尿量が多くなり、水分が排泄されて、のどが渇きます。
食事ポイントの基本~大きな考え方~
血糖値が高くなって、すい臓に負担をかけないように食事に気をつけることは大切です。
食事で気をつけるポイントは大きく分けてこの二つです
・適正エネルギー量(食べる量)を守り、血液に入る「糖質(ブドウ糖)」の量を抑える。
・食後に血糖値が急激に上昇することを防ぐ。
「適正エネルギー量」は医師の指示があるかたはきちんと従ってください。わからないかたは別の記事で紹介します。
「食後に血糖値が急激に上昇することを防ぐ」食事はいくつか方法がありますので、後日紹介します。
まとめ
血糖値の上昇にもっとも大きな影響を与える栄養素「糖質」。そんな「糖質」のはたらき・体内でエネルギーとしてつかわれるまでの道のりを説明しました。
「糖質」がエネルギーとして使われるまで、体内でいろいろな機序がありましたね。こういったからだのメカニズムって複雑にからんでいて、でも正常に働いていてすごいなぁとつくづく思います。ただ、病気になるとこのようなからだのメカニズムがうまく働いていません。糖尿病は、「糖質」がエネルギーにかわることがうまくいかない病気です。そのまま放置すると、すい臓は一生懸命働きすぎてしまい、やがて機能が低下していきます(糖尿病は合併症も怖い病気です)。
医師から血糖値が高めといわれた・糖尿病、あるいは予備軍といわれたら、すぐに受診して医師のもとで治療をはじめることをおすすめします。糖尿病の基本治療は食事・運動です(症状によって服薬も加わります)。糖尿病が進行しないためにも、糖尿病予防のためにも、食事に気を付けることはとても重要です。
