血糖値の上昇に大きく影響をあたえる栄養素は「糖質」です。この「糖質」、実は3種類に分類されるのです。そして興味深いことに、糖質のなかでも血糖値を急上昇させやすい糖質・もっとも血糖値の上昇スピードが緩やかな糖質とそれぞれ特徴があります。血糖値の急上昇は糖尿病の発症をひきおこしかねません。糖質の分類を知って、血糖値を急上昇させやすい食品を覚えて今から気をつけてみませんか?
血糖値とは
血糖値とは血液中の「ブドウ糖」の濃度のことです。
血糖値は食事をしたら上昇し、空腹時には下がります。1日中絶えず変動しています。
血糖値の急上昇は血管やすい臓に負担をかけます。血糖値を急上昇させる食生活を続けていくと、糖尿病などの発症につながりますので、血糖値を急上昇させない食生活を心がけることが大切です。(こちらの記事も参考に)
糖質とは
私たちが体を動かす、体温を保つ、心臓を動かすなど生命を維持する活動をするには「エネルギー」が必要です。
「糖質」はおもに「エネルギー」の源になる大切な栄養素です。(糖質が体内でエネルギーになるまでの道のりはこちらの記事)
[食べた「糖質」は身体のなかの消化・吸収の過程で「ブドウ糖」に変わり、血液中にだされます。血糖値は血液中の「ブドウ糖」の濃度のことなので、糖質と食べると血糖値が上昇します。]
「糖質」はごはん・パン・麺類・いも類のほか、
果物・砂糖などさまざまな食物に含まれます。
糖質の分類
糖質は単糖類・二糖類・多糖類に分類されます。
単糖類は、これ以上分解されない糖質の最小単位です。
食べた糖質は単糖類まで分解されて吸収されます。
二糖類は、単糖が2つ結合しています。
小腸で単糖に分解されて吸収されます。
多糖類は、単糖類がたくさん連なったものです。
「多糖類」を口で噛んで飲み込むと、胃に入って、十二指腸へ移り、「二糖類」にまで分解され、小腸で「単糖類」まで分解されて吸収されます。つまり、多糖類は身体のなかで、「多糖類」→「二糖類」→「単糖類」と形を変えて、吸収されます。
糖質の分類表
「多糖類」→「二糖類」→「単糖類」の順にからだのなかで変わります。血糖値は血液中の「ブドウ糖」の濃度です。
糖質の分類表
分類 | 種類 | 特徴 | 主に含まれる食品 |
多糖類 |
でんぷん | ブドウ糖がたくさん結合している |
ごはん・パン・麺類・いも類 |
二糖類 |
ショ糖 |
ブドウ糖と果糖に分解される |
砂糖 |
麦芽糖 | ブドウ糖とブドウ糖に分解される |
水飴・麦芽 |
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乳糖 | ブドウ糖とガラクトースに分解される(※上記二糖類と違い、血糖値への影響は少ないとされている) |
牛乳 |
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単糖類 |
ブドウ糖 | これ以上分解されない |
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果糖 |
果物・はちみつ |
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ガラクトース |
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糖質の分類と血糖値
ここで、注目してほしいことは
「でんぷん」→「二糖類」→「ブドウ糖」という身体のなかで
消化・吸収の流れがあるということです。
つまり、糖質のなかでも「でんぷん」は
胃のなかで消化に時間がかかる“消化・吸収の過程”があるので、
血糖値の上昇スピードが緩やかな糖質なのです。
「でんぷん」の消化・吸収の過程
「でんぷん」→胃・十二指腸で分解される→「二糖類」になる→小腸で分解される→「ブドウ糖」になり小腸で吸収されて血液中へ送られる(→血糖値が上がる)
逆に、「二糖類」である砂糖を多く使った甘い物は、
「でんぷん」に比べて消化・吸収の過程が少ないため、
血糖値が上昇しやすいことがわかります。
「二糖類」の消化・吸収の過程
「二糖類」→小腸で分解される→「ブドウ糖」になり小腸で吸収されて血液中へ送られる(→血糖値が上がる)
さらに、単糖類である「ブドウ糖」をそのままを食べたらどうなるでしょう・・・
一気に血糖値が急上昇します。
「ブドウ糖」は分解される過程がなく、小腸で吸収され血液中に送られる(→血糖値が上がる)
「ブドウ糖」をそのまま食べることはないと思いますか?
実は「ブドウ糖」、清涼飲料水や缶コーヒーなどに多く含まれています。
商品のパッケージに記載されている栄養成分表示をみてください。
原材料名に「果糖ブドウ糖液糖」と記載がありませんか?
ちなみに原材料名は入っている材料が多い順に書かれています。「果糖ブドウ糖液糖」は一番はじめに書かれていませんか?
消化・吸収の過程がない「ブドウ糖」の液体を飲むと、血糖値が急上昇しやすいです。
普段何気なく飲んでいるものは血糖値を急上昇させやすい飲み物ですか? ご注意ください。
現時点では、糖類の分類による血糖値の上昇スピードについて断言できるほど科学的に確立されたガイドラインがでているわけではありませんのでひとつの参考意見としてみてください。しかし、砂糖を多く含む菓子類やブドウ糖を多く含む飲料水はエネルギーも高く、食べすぎてしまう傾向もあり、血糖コントロールを乱すだけでなく肥満や中性脂肪を上げる原因にもなりますので要注意な食品であることはかわりません。
まとめ
今回は糖質の分類を紹介しました。糖質は身体のなかでブドウ糖に変わり、血糖値の上昇に深く関わりのある栄養素です。糖質は3種類に分類され、糖質のなかでも血糖値を急上昇させやすい糖質・もっとも血糖値の上昇スピードが緩やかな糖質とそれぞれ特徴があります。前者は「ブドウ糖」といわれ、「果糖ブドウ糖液糖」の入っている清涼飲料水や缶コーヒーにおもに含まれます。後者は、「でんぷん」といわれ、ごはん・ぱん・いも類などにおもに含まれます。なぜ同じ糖質でも血糖値の上昇の関与に違いがでるのかというと、消化・吸収の過程があるからと考えられます。胃や小腸で分解される過程がある「でんぷん」は血糖値の上昇が糖質のなかで緩やかですが、分解の過程がない「ブドウ糖」は直に小腸で吸収されて血液中に送られるので、血糖値が急上昇しやすいのです。ただ、主食(ごはん・パンなど)は糖質のなかでも血糖値の上昇スピードが緩やかといわれますが、食べ過ぎは血糖値の上昇につながるので、量には気をつけましょう(主食の適量はこちらの記事)。甘い飲み物・炭酸水・缶コーヒー・カフェラテなどは血糖値を急上昇させやすいので、控えたほうが賢明かと思います。
