栄養の基本

糖質の代謝 〜食べた「糖質」は身体のなかでどのようになるのか?〜

脂質たっぷり含む食品を食べたら、血液中の中性脂肪やコレステロールが上昇し、脂質異常症や肥満につながる。ということはイメージしやすいかもしれません。しかし、脂質だけではなく、「糖質」の取りすぎも肥満や脂質異常症につながることはご存知ですか?とくに中性脂肪が高いといわれるかたは「糖質」にも着目して気をつけてください。

食べすぎた「糖質」は身体のなかでどのようになるのでしょうか?食事でとった「糖質」の行方を追っていきます。栄養学の基礎である「糖質の代謝」をわかりやすくお伝えしたいと思います。

 

「糖質」の3つの特徴

 

まずはじめに

「糖質」とはどのようなものなのか

特徴を3つお伝えします。

 

特徴1

 

「糖質」は3大栄養素のひとつです。

 

ごはんやパン・麺類・いも類・砂糖・果物などに多く含まれます。

 

 

 

特徴2

「糖質」は「エネルギー」を産生する栄養素です。

 

私たちが体を動かす・体温を保つ・心臓を動かすなど、

起きているときも寝ているときも生命を維持する活動をするために

「エネルギー」が必要です。

 

きこインコ
きこインコ
「エネルギー」は体を動かすガソリンのようなもの!

 

私たちは「エネルギー」を食べ物から得ます

食べ物のなかで、主にエネルギー源となる栄養素が「糖質」・「脂質」です。

 

日本人の食事摂取基準2015では、

「炭水化物(糖質)」「脂質」「たんぱく質」の適正エネルギー比率は

「炭水化物」50〜65%

「脂質」20〜30%

「たんぱく質」13〜20%

としています。

 

三大栄養素のエネルギーバランス

 

私たちは1日に必要な「エネルギー」量の約60%を「糖質」から取り入れています。

 

 

特徴3

「糖質」は血糖値の上昇に関わる栄養素です。

 

「血糖値」とは

血液中に含まれる「ブドウ糖(血糖)」の濃度を表す数値です。

 

「ブドウ糖」は生命維持に不可欠な栄養素であり、

常に一定の必要量が血液中にあります。

 

血糖値の変動

 

「血糖値」は絶えず変動していて

「糖質」を摂ると「血糖値」が上昇し

通常、2時間後にはもとにもどります。

 

 

食事でとった「糖質」はどうなる?

 

きこインコ
きこインコ
まず、特徴2・特徴3の説明をするよ

 

 

特徴2で「糖質はエネルギーを産生する栄養素です。」

とお伝えしました。

 

では、「糖質」は身体の中でどのようにエネルギーになるのでしょうか?

 

「糖質」はそのままのかたちでは「エネルギー」として使えません。

 

「糖質」は胃や小腸で消化・吸収され、

身体のなかで「ブドウ糖(グルコース)」に変わり

脳や筋肉を動かすエネルギーとして使われます

 

 

きこインコ
きこインコ
「糖質」は「ブドウ糖」に変身してエネルギーとして使われるイメージだよ

 

 

 

特徴3で「糖質は血糖値の上昇に関わる栄養素です。」

とお伝えしました。

 

血液中の「ブドウ糖」の濃度は「血糖値」です。

食事で「糖質」をとると身体のなかで「ブドウ糖」に変わるので

「血糖値」は上昇するのです。

(血糖値は通常、食後30〜60分後に最大値に達し、2時間後にはもとに戻ります。)

 

ねこリーマン
ねこリーマン
食事をして増えた「ブドウ糖」は2時間後にはもどるんだね。一体どこにいったの?

 

食事をしたあとに血液中に増えた「ブドウ糖」はどこにいったのでしょう?

 

食後、血液中に増えた「ブドウ糖」は

「グリコーゲン」として

肝臓や筋肉に貯蔵されます

 

 

グリコーゲンの貯蔵量

 

糖質の代謝イメージ

 

とお伝えしました。

 

 

食事でとった「糖質」は「ブドウ糖」に変わり、

大部分が「グリコーゲン」として

肝臓や筋肉に貯蔵されるので、

ブドウ糖(グルコース)として存在する量はわずかです。

 

『血糖値(ブドウ糖の濃度)は、

通常、空腹時であれば60~99ml /dlです。

空腹時80ml/dlだとすると、血液中の「ブドウ糖」の全体量は3~4gくらいです。』

 

 

「ブドウ糖」は

筋肉や肝臓に「グリコーゲン」という形で貯蔵される。

ということをお伝えしていますが、

 

実は、この貯蔵量には上限があります。

 

 

「グリコーゲン」が最も高濃度に存在するのは

肝臓で、

湿重量の最大で5~8%といわれています。

計算上の貯蔵量は最大100g~140gとなりますが、

通常は約60gの貯蔵量と考えられています。

 

 

次に高濃度に貯蔵されているのが、

骨格筋です。

湿重量の最大0.5~1%で、

計算上の貯蔵量は80g~160gと考えられています。

 

【高濃度に存在するのは肝臓ですが、体に占める筋肉量は肝臓に比べてずっと大きいので、糖質貯蔵量(グリコーゲン貯蔵量)としては筋肉が最も多いです。】

 

ねこリーマン
ねこリーマン
無限に貯蔵できるわけではないんだね
きこインコ
きこインコ
糖質を摂りすぎは肥満につながるのはこのためだよ

 

糖質の摂りすぎは脂肪になる

 

「ブドウ糖」は肝臓や筋肉に取り込まれ、「グリコーゲン」として貯蔵されますが、

肝臓や筋肉の貯蔵量には限界があります。

 

肝臓や筋肉の貯蔵量を超えたら、

「ブドウ糖」はどこへいくのでしょう?

 

余ったブドウ糖は、

脂肪組織に運ばれて

脂肪酸に合成され、

脂肪として貯蔵されます

 

脂肪1gは9kcalもエネルギーを貯蔵できる(糖質1g・たんぱく質1gは4kcalのエネルギー)ので、脂肪は効率よいエネルギー貯蔵形態なのです。

 

「糖質の摂りすぎ」は「肥満」につながります

 

貯蔵されたグリコーゲンの活用

 

食事でとった「糖質」は、

体内で「ブドウ糖」に変わったあと、

「グリコーゲン」として肝臓や筋肉に貯蔵されるのでしたね。

 

肝臓に貯蔵された「グリコーゲン」は、

必要に応じてゆっくり「ブドウ糖」に変わり血液中へ放出され、

血糖の維持に利用されます。

 

きこインコ
きこインコ
「ブドウ糖」は生命維持に重要な栄養素だから、血糖値は常に一定の濃度に保たれているよ

一方、

筋肉に貯蔵された「グリコーゲン」

血糖維持には利用されません

 

筋肉のグリコーゲンは

筋肉活動のエネルギー源として使われ

血糖維持にのためには使われません。

(筋肉は肝臓と違ってグリコーゲンをブドウ糖に変えることができる”グルコース-6-ホスファターゼ”をもっていないため)

 

 

「朝食は大切!」

 

「ブドウ糖」は生命活動に重要な栄養素で、常に一定数血液中にあるように調節されています。

必要に応じて「ブドウ糖」に変わり、血液中に放出することができる「肝臓に貯蔵されるグリコーゲン量」は50~60gにすぎないと考えられています。

朝食を欠食するなど長時間食べ物を補給しないでいると、肝臓のグリコーゲンが枯渇し血糖値が低くなり、生体機能が十分に発揮でなくなりかねません。

 

例えば「ブドウ糖」を必要とする組織のひとつである脳。

脳の重量は体重の約2%ですが、脳のエネルギー消費量は身体が消費する約20%になります(1日約400~500kcal)。

脳は「グリコーゲン」がほとんど貯蔵されず、「ブドウ糖」が唯一のエネルギー源です(特別な場合を除く)。血糖値が低下すると脳へのエネルギー供給が不十分になり脳の働きが低下していきます。集中力の低下・眠気・不快感・頭痛や吐き気の要因となります。

脳だけでも1日100~125gの糖質が必要とされています。1日数回食事を摂取することは血糖を維持し、「ブドウ糖」を必要とする組織に滞りなく供給する面からも重要です。

 

参考文献:「基礎栄養学改訂3版」

まとめ

「糖質」が身体のなかでどのように変わり活用されるのか?という「糖質の代謝」について簡単にお伝えしました。このような「栄養素の代謝」は管理栄養士の養成大学で学ぶ「基礎栄養学」「生化学」の分野です。難しい科目ですが、「栄養素の代謝」という基礎知識は、世の中に溢れた情報で何が正しいのかを判断する材料のひとつになると思います。

食事で食べた「糖質」はからだのなかで「ブドウ糖」に変わった後、筋肉や肝臓で「グリコーゲン」として貯蔵されます。しかし、貯蔵量には上限があるため貯蔵量を超えた「糖質」は「脂肪」として貯蔵されます。すべて覚えなくても、「糖質」の摂りすぎは「肥満」につながるとざっくり頭に入れてくれたら嬉しいです。

ABOUT ME
きこ
きこ
管理栄養士。 大学卒業後、大手企業にてサプリメントや健康食品の販売・アドバイス・ダイエット相談を経験。その後「未病を改善する栄養サポートステーション」専属管理栄養士として延べ3500人に食生活アドバイスを実施。 学生のころに母を亡くした経験から健康の大切さを実感し、世の中には日々の食事で予防できる病気もあることを知り、管理栄養士になることを決意。健康維持・増進を手助けできる管理栄養士を目指して活動予定!