仕事で夜遅く帰ってきて、それから夕ご飯を食べる。気づけば夕食の時間は22時が普通に、、なんていうことありませんか?
「何を」「どれだけ」食べれば良いか、カロリー理論のみを考えれば「何時に」食べようが太りやすさには関係ないと思いませんか。しかし、”メタボが気になる”、”太ってきた”、”朝が苦手”、などのこうした不調は、食べる「時間」に問題があることがわかってきています。
従来の「何を」「どれだけ」食べれば良いかに加えて、「いつ」「どのように」食べるかの視点を加えた栄養学が「時間栄養学」です。今注目の栄養学、「時間」という面に着目して、自分の食べ方を見直してみませんか?
初めまして♫この記事を書く私は、管理栄養士きこです。
管理栄養士としては、
・某大手企業にてサプリメントや健康食品の販売カウンセリング
・「未病を改善する栄養サポートステーション」専属管理栄養士として述べ3500人以上の人へ、食習慣アドバイス等を実施
・アプリのメッセージで減量サポート
・特定保健指導、集団特定保健指導
の経験があります。現在は特定保健指導中心のお仕事をしていて、メタボでお悩みの方の減量サポートをしています!
この記事では、
食べる時間に着目し、
夜遅い食事になるとき、どのような対策をすれば良いかわかりやすくお伝えします。
食べる時間が大切な理由
体内時計はご存知ですか?
私たちの身体には効率よく活動するためのリズムが備わっています!
身体の中で行われている
「消化」「吸収」「代謝」の働きは
体内時計によって大きく左右されています。
この体内時計を考えた食生活を送ることは体調管理に大切なのです!
体内時計と呼ぶものは
時計遺伝子が制御する「概日リズム(サーカディアンリズム)」という1日の時間を刻む時計です。
そしてこの時計遺伝子は、脳だけでなく全身に存在します!
例えば、「肝臓」。
肝臓は栄養素の代謝(食べたものをエネルギーに変える)をする臓器です💡
代謝を担う肝臓は、朝から活性化し、正午がピークになるといわれています!
お昼を過ぎると、徐々に活性を下げ、夜は休息に入ってしまうそうです。
もう一つ、生活リズムを調整するタンパク質の1種である「BMAL1」。
「BMAL1」が増えると、脂肪の蓄積量が増加するといわれています。
「BMAL1」は、15時ごろが最小値で、21時以降に急増します。
このような体内時計の働きで、私たちの身体は、
夜遅い時間帯に食べたものを脂肪として蓄えるようになっています。
同じカロリーの食事をしても、
昼間に食べるのと夜遅くに食べるのでは、
太りやすさが変わってくることがわかりますね。
「基本は朝食を食べること!」
「概日リズム(サーカディアンリズム)」の周期は、24時間ではなく、
24時間15分くらいのサイクルでできていると考えられています。
そのため、毎日リセットしないと少しづつ外の世界の時間とずれていくことが分かっています。
体内時計は脳内の視交叉上核にある”親時計”と末梢の”子時計”があり、リセット方法が異なります。
まず、親時計である視交叉上核は「光」によってリセットされます。
朝起きたら光を浴びて、今が朝だ!と判断するようになっているというわけです!⏰
一方、末梢の子時計の方は光ではなく「朝食」がポイントです。朝ご飯を食べることで、末梢の体内時計がリセットされ、動き始めるという仕組みになっています。
朝起きて朝食を食べることで、朝だ!とリセットしてくれるというわけです!⏰
私たちの体内時計は、毎日、「朝の光」と「朝食」でリセットされているのですね✨
夜遅い食事のデメリット
1、体脂肪として蓄積されやすい
・増えると脂肪の蓄積量が増加するといわれている「BMAL1」は、21時以降に急増するため、脂肪が蓄積されやすくなります。
・昼食からの絶食時間が長いと、空腹感から、どか食い、早食い、食べ過ぎになりがちです。また、夜は日中に比べて消費エネルギー量が少ないので、余分なエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなります。
2、胃もたれ、不眠、翌朝の食欲低下につながる
・遅くに食事をすると、睡眠中に消化活動が行われるので睡眠を妨げ、睡眠不足を招ききかねません。
・翌朝、食欲がなくて朝食が食べられない原因にもなり、生活リズムも乱れやすくなります。
3、血糖値や中性脂肪の上昇を招き、メタボリックシンドロームの原因に
脂肪細胞から出される「レプチン」は食欲抑制やエネルギー代謝亢進の働きがあり、メタボリックシンドローム予防にも良い働きをしてくれます!
しかし、夜遅い食事が習慣化すると、この「レプチン」の働きが低下し、血糖値や中性脂肪の上昇しやすくなることが知られています。メタボリックシンドロームを招く原因となります。
「夜遅い食事がメタボを招くメカニズム」
夜遅い食事は太りやすいというメカニズムが、アディポサイトカインの研究から明らかになってきています。
アディポサイトカインとは、脂肪細胞が分泌する生理活性物質の総称です。脂肪細胞はエネルギー貯蔵庫として脂肪を蓄えておくだけのものだと考えられていましたが、それは誤りで、さまざまな生理活性物質を活発に分泌していることが近年の研究でわかってきました。
内臓脂肪が溜まると、良い働きをする物質の分泌が減り、悪い働きをする物質の分泌が増えるなどのアディポサイトカインの分泌異常をきたし、メタボリックシンドロームのリスク因子となる高血糖・高血圧・脂質異常症などを招くといわれています。脂肪細胞が分泌するアディポサイトカインのひとつに食欲抑制やエネルギー代謝亢進の働きがある「レプチン」があります。メタボリックシンドローム予防に良い働きをしてくれますが、夜遅い食事が習慣になると、「レプチン」の作用が低下し、これに伴って血糖値や中性脂肪の値が上昇しやすくなると言われています。この現象は「夜食症候群」と呼ばれ、メタボリックシンドロームを招く原因の一つと考えられています。「夜食症候群」の一例は、お酒を飲んだ後のシメの炭水化物です。アルコールを飲むとつい自分に甘くなってしまうかもしれませんが、夜中におにぎりやラーメン、シメパフェを食べる習慣がある人は改めましょう。
(参考)厚生労働省e-ヘルスネット「夜食症候群とは」
夜遅い食事になるときは「分食」を取り入れよう
お仕事などでどうしても夜遅い食事になってしまうことありますよね。
そんな時は「分食」を取り入れましょう!
分食のやり方
夕方の5〜6時ごろに、炭水化物中心の間食をとります。
内容は「おにぎり」「サンドイッチ」「バナナ」などです!
手軽に補給できるものでOKです。
そして帰宅後は、「野菜」と「たんぱく質」中心のおかずのみにしましょう!
高脂肪食は避けて、なるべく油は使わない
サラダ、おひたし、豆腐、納豆、ゆで卵、味噌汁、スープなどがオススメです。
たんぱく源は低脂肪で消化が良い大豆製品が良いですね♫
注意する点は、血糖値をあまり上げないようにすることです。夜遅くにご飯やパンなどの主食系を食べてしまうと翌朝の体内時計がうまくリセットされないことにつながってしまいます。
主食系は夕方に、
残りのおかずは帰宅後に(なるべく低脂肪なおかずに)
と覚えておきましょう!
遅い時間に食べる量を減らすことができ、臓器に負担をかけすぎず、太らない身体づくりに大切です^^
夕食は、朝食から12時間以内にとることが理想!?
1日のうち、何も食べない時間(絶食時間)が一定以上ある食生活を送ることも大切です!
ある研究では、1日14時間以上の間に食べていた人を、1日10〜11時間の間だけ食べるようにしたら、体重減少と睡眠改善が見られたという報告があります💡つまり、絶食時間を長くすると、太りにくく、よく眠れるようになるということです。
また、朝食には体内時計をリセットする効果があるといわれていますが、この効果を引き出すためにも十分な絶食時間がポイントです。
朝食で体内時計をリセットする鍵となるのが「インスリン」です。インスリンは、食後に膵臓から分泌されるホルモンで、血糖値を一定に保つ働きをもつと同時に、時計遺伝子にシグナルを送って体内時計をリセットするという役割もあることがわかってきています。この「インスリン」が働きやすく体内時計をリセットしやすい状態にするためにも、前日の夕食時間を考慮し、朝食との絶食時間を10時間以上は空けたいところです。
例えば、朝食が朝の7時ならば、夕食は夜7〜8時くらいにとりたいですね。
理想の食事時間は、1日10〜12時間程度として、
絶食時間を12時間確保を目指しましょう!
±2時間は許容範囲といわれています!
(参考)「食べる時間から体のリズムを整えたい方へ」(日本栄養士会発行)
まとめ
食べる時間に着目すると、夜遅い食事は、体内時計が乱れやすく、体脂肪に変わりやすい、メタボにつながるというデメリットがあります。体内時計を考えた食生活を送ることは体調管理に大切です。仕事などでどうしても夜遅い食事になるときは、「分食」を取り入れましょう。夕方に、おにぎりなど炭水化物中心の食事をとり、帰宅後に野菜やたんぱく質中心のおかずをとるようにすると良いでしょう。夕食を分けてとることで、体内時計も乱れにくくなります。
