脂質異常症

世界的に規制されている!?「トランス脂肪酸」とは?多く含まれる食品と含有量

 

アメリカでは規制がかかっている「トランス脂肪酸」。WHO(世界保健機関)は2018年5月に「トランス脂肪酸」を排除するための指針を発表しました。

そんな世界的に心血管疾患リスクを高めるなど健康への悪影響が指摘されている「トランス脂肪酸」とはどのようなものなのでしょうか。多く含まれる食品とその含有量も紹介します。

 

食品中の脂質の種類

 

脂質は

たんぱく質・炭水化物と並ぶ

生命維持に欠かせないエネルギー源になる

三大栄養素のひとつです。

 

食品に含まれる脂質は、下記のように分類されます。

 

・飽和脂肪酸 こちらの記事に記載)

・一価不飽和脂肪酸 こちらの記事に記載)

・n-6系多価不飽和脂肪酸

・n-3系多価不飽和脂肪酸こちらの記事に記載)

 

 

いろいろな記事でこの4つを紹介していましたが、実は上記以外にも食品中に含まれる脂質があります。

 

それは

「トランス脂肪酸」です。

 

「トランス脂肪酸」とは

 

「トランス脂肪酸」とは何かをお伝えする前に

まず、

食品中の脂質はどのように分類されるのかを紹介します。

 

 

食品中の脂質は「中性脂肪」のかたちで存在しています。

「中性脂肪」はグリセロールと3つの「脂肪酸」で構成されており、

この「脂肪酸」によって分類されます。

中性脂肪の構造

 

「脂肪酸」は

炭素の長さ・二重結合の有無・二重結合の数や位置によって種類が分かれます。

 

ねこリーマン
ねこリーマン
難しくなってきたよ
きこインコ
きこインコ
少し複雑だからここは読み飛ばしてもいいよ

 

 

二重結合がないものを「飽和脂肪酸」

二重結合があるものを「不飽和脂肪酸」

といいます。

 

さらに、

「不飽和脂肪酸」のなかでも

二重結合が1つだけあるものを「一価不飽和脂肪酸」

二重結合が2つ以上あるものを「多価不飽和脂肪酸」

といいます。

 

さらに付け加えると

「多価不飽和脂肪酸」のうち

左から数えて最初の二重結合が3番目の場合を「n-3系多価不飽和脂肪酸」

6番目の場合を「n-6系多価不飽和脂肪酸」

といいます。

 

このように

食品中の脂質は「脂肪酸」によって分類され、

性質や働きが異なります。

 

では

「トランス脂肪酸」とはどのような構造なのでしょうか

 

二重結合のあるものを「不飽和脂肪酸」と呼び

「不飽和脂肪酸」の二重結合は「シス型」と呼ばれる構造をしています。

 

ほとんどの「不飽和脂肪酸」は「シス型」ですが、

「トランス型」と呼ばれる構造をしているものがあります。

 

「トランス型」の二重結合が1つ以上ある「不飽和脂肪酸」を

「トランス脂肪酸」と呼びます。

 

ねこリーマン
ねこリーマン
天然にはほとんど存在しないのに「トランス脂肪酸」はどうしてできたの?
きこインコ
きこインコ
それは製造過程にあるよ

 

天然に存在している「不飽和脂肪酸」はほとんど「シス型」なのに

どうやって「トランス脂肪酸」ができるのでしょうか

 

「トランス脂肪酸」はどうやってできるのか

 

「トランス脂肪酸」は

マーガリンやショートニングなどの

硬化油を生成する際にできます。

(硬化油を生成する際に一部の「シス型」の二重結合が「トランス型」の二重結合に変化します)

 

マーガリンは「植物油」を主な原料につくられます。

植物油のような液体の油を

マーガリンのような固体の脂にするための加工技術として

「水素添加」があります。

 

この「水素添加」で「トランス脂肪酸」が発生します。

 

「トランス脂肪酸」はとりすぎ要注意

 

「トランス脂肪酸」の過剰摂取は

悪玉であるLDL-コレステロールを上昇させ

善玉であるHDL-コレステロールを低下させる

ことが報告されています。

 

心血管疾患のリスクを高めるなど

健康への悪影響が指摘されています。

 

 

世界的にも「トランス脂肪酸」は問題視されていて、

「トランス脂肪酸」を規制する取り組みが進められています。

 

実際に

アメリカやオーストラリア・デンマーク・スイスなど

食品中のトランス脂肪酸含有量等の規制措置を

実施している国もあります。

 

さらに2018年5月には

WHO(世界保健機関)が

工業的に生成されたトランス脂肪酸を排除するための段階的な指針である

「REPLACE」を発表しました。

 

 

 

“「トランス脂肪酸」の規制” 日本は?

 

日本では「トランス脂肪酸」について食品表示の義務や含有量に関する基準値はありません。

その理由としては

・トランス脂肪酸の健康への悪影響を示す研究は欧米人を対象としていて、日本人でも同じことがいえるのかはまだ明らかになっていない。

・日本人のトランス脂肪酸の摂取量は、健康に影響を及ぼすレベルを下回っていることから、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられている。

ということがあげられます。

 

 

「トランス脂肪酸」の摂取量はどのくらいに抑えるべきか

 

日本ではまだ規制がないけれども

心血管疾患リスクを高めるといわれ

欧米では使用が規制がされている「トランス脂肪酸」。

 

WHO(世界保健機関)は

「トランス脂肪酸」の摂取量を

総摂取エネルギー量の1%未満に抑える

ことを推奨しています。

 

総カロリーの1%未満というと

 

女性の推定エネルギー必要量:

1日2000kcalの食事の場合

2.2g未満

 

男性の推定エネルギー必要量:

1日2650kcalの食事の場合

2.9g未満

 

ということになります。

 

※推定エネルギー必要量は身体活動レベル普通・30代の場合(日本人のための食事摂取基準2015)※脂質1g=9kcal

 

 

加工食品に偏った食生活をしている人

間食が多い人

「トランス脂肪酸」のとりすぎになりやすいので気をつけてください。

 

きこインコ
きこインコ
自分の健康は自分で守ろう!

 

「トランス脂肪酸」の多い食品と含有量

 

「トランス脂肪酸」の多い食品は

水素添加により製造される

「マーガリン」

「ショートニング」

「ファットスプレッド」

などです。

 

それらを原材料につくられている

「パン・菓子パン」

「ケーキ類」

「クッキー・ビスケット類」

「スナック菓子」

「カップ麺」

などにも「トランス脂肪酸」が多く含まれます。

 

「トランス脂肪酸」の多い食品100gあたりの含有量を表にしました。

トランス脂肪酸(g /100g)
ショートニング 13.57
マーガリン 8.05
ファットスプレッド 5.49
パイ 4.75
クッキー 1.91
コーン系スナック菓子 1.71
スポンジケーキ 0.90
ビスケット 0.68
イーストドーナツ 0.67
シュークリーム 0.54
ポテト系スナック菓子 0.30
菓子パン 0.20
即席中華めん 0.12

参考:内閣府食品安全委員会:平成19年食品に含まれるトランス脂肪酸の評価基礎資料調査報告書

 

「マーガリンやショートニングなんて食べていないよ」と思っていても

それらを原料につくられている食品は多くあります。

知らないうちに「トランス脂肪酸」を摂取しているかもしれません。

 

ショートニングはお菓子やパンをつくるときに使用され、サクサクしたような口当たりの良い食感にするものです。

お菓子のパッケージをみてみてください。原材料名に”ショートニング”が記載されているものがあると思います。原材料名は入っている量が多い順に記載されていて、ショートニングはよく上位に記載されている印象です。

ショートニング

 

 

 

「トランス脂肪酸」を多く含む

マーガリンやショートニングを原料につくられる食品はたくさんあります。

 

成分表示を上手に活用し

加工食品やお菓子の食べ過ぎには気をつけてください。

 

 

まとめ

今回は「トランス脂肪酸」についてまとめました。「トランス脂肪酸」は心血管疾患のリスクを高めるなど、健康に悪影響を及ぼすといわれています。アメリカなどの国ではすでに規制されており、WHOも「トランス脂肪酸」を排除する指針を発表しました。「トランス脂肪酸」はマーガリンやショートニングに多く含まれていて、それらを原料につくられる食品はたくさんあります。日本での規制はまだないけれども、自分の健康を守るために、食べ過ぎに注意することをおすすめします。

 

ABOUT ME
きこ
きこ
管理栄養士。 大学卒業後、大手企業にてサプリメントや健康食品の販売・アドバイス・ダイエット相談を経験。その後「未病を改善する栄養サポートステーション」専属管理栄養士として延べ3500人に食生活アドバイスを実施。 学生のころに母を亡くした経験から健康の大切さを実感し、世の中には日々の食事で予防できる病気もあることを知り、管理栄養士になることを決意。健康維持・増進を手助けできる管理栄養士を目指して活動予定!